犯罪報道にあおられる人々 後
2005年12月2日 ところが、実際は、日本という国は国際的に見ると、過去から現在まで通して世界でも稀に見る治安のよい国である。犯罪大国アメリカはもちろんのこと、統計上で、たとえばヨーロッパの諸国と比較しても、日本より殺人率が低い国を探すのに骨が折れるほどである。
テレビや新聞によって犯罪情報を知らされている一般市民は、犯罪白書やその他の犯罪統計を紐解く機会はほとんどない。そのために現代の日本は凶悪犯罪にあふれている国と映っても無理はない。しかし、最悪の重大犯罪であり、治安の悪さのバロメーターである殺人が、近年においても決して増加傾向に転じているわけではない。
メディアは凶悪犯罪を克明に報道し、いかにもその数が増えて、治安が悪化しているように報道することによって、ニュース番組やワイドショーの視聴率が上がり、新聞や雑誌が売れるわけだから、競うように凶悪殺人事件を報道し、結果的に社会不安をあおることになる。このような事件では、思想的立場が違うメディアであっても同じようにセンセーショナルな報道になる。
犯罪統計においても、少しでも犯罪が増加傾向にあると発表されれば大々的に報道するが、犯罪が減少したという発表については、ごくわずかな扱いに留めて、一部に新たな犯罪や非行が増加していればそれを大見出しで伝えようとする。「振り込め詐欺」や「カード犯罪」はこれにあたる。
一方、法務省や警察でも犯罪が増加して治安が悪化しているとすれば予算と人員を増やすことができるわけで、こうしたメディアの報道傾向には暗黙の支持を与えている。さらに政治家も圧倒的マイノリティである犯罪者を攻撃することによって、一般的な正義感を持つ人たちの支持を得て、少しでも票に結び付けようとする。
こうした人たちが、少年犯罪にしろ、凶悪犯罪にしろ、決して増加傾向にあるわけではないのに、数年に一度という頻度で発生する稀有な事件をことさら大きく取り上げて、日ごろから切望し準備していた法制度の改正や導入を図るといったパターンを繰り返している。
一般市民は「統計ではなくテレビを見る」というように、ポピュリズム的支持は強いわけだから、しばらくはこうした傾向が続くのだろう。
テレビや新聞によって犯罪情報を知らされている一般市民は、犯罪白書やその他の犯罪統計を紐解く機会はほとんどない。そのために現代の日本は凶悪犯罪にあふれている国と映っても無理はない。しかし、最悪の重大犯罪であり、治安の悪さのバロメーターである殺人が、近年においても決して増加傾向に転じているわけではない。
メディアは凶悪犯罪を克明に報道し、いかにもその数が増えて、治安が悪化しているように報道することによって、ニュース番組やワイドショーの視聴率が上がり、新聞や雑誌が売れるわけだから、競うように凶悪殺人事件を報道し、結果的に社会不安をあおることになる。このような事件では、思想的立場が違うメディアであっても同じようにセンセーショナルな報道になる。
犯罪統計においても、少しでも犯罪が増加傾向にあると発表されれば大々的に報道するが、犯罪が減少したという発表については、ごくわずかな扱いに留めて、一部に新たな犯罪や非行が増加していればそれを大見出しで伝えようとする。「振り込め詐欺」や「カード犯罪」はこれにあたる。
一方、法務省や警察でも犯罪が増加して治安が悪化しているとすれば予算と人員を増やすことができるわけで、こうしたメディアの報道傾向には暗黙の支持を与えている。さらに政治家も圧倒的マイノリティである犯罪者を攻撃することによって、一般的な正義感を持つ人たちの支持を得て、少しでも票に結び付けようとする。
こうした人たちが、少年犯罪にしろ、凶悪犯罪にしろ、決して増加傾向にあるわけではないのに、数年に一度という頻度で発生する稀有な事件をことさら大きく取り上げて、日ごろから切望し準備していた法制度の改正や導入を図るといったパターンを繰り返している。
一般市民は「統計ではなくテレビを見る」というように、ポピュリズム的支持は強いわけだから、しばらくはこうした傾向が続くのだろう。
コメント