ハヤリ神

2005年11月7日
 ハヤリ神とは、ある日突然出現して熱狂的な信仰を集めながら、短い期間で消滅してゆく神や仏のことを指す。日本史などで有名な「ええじゃないか」などもこれに当たるのではないだろうか。
 ハヤリ神の特徴はおおよそ三つ存在する。
?信仰圏が狭い地域に限定される。
?霊験を創作・喧伝する宗教者(多くの場合に巫女や旅の行者)が介在している。
?信仰に永続性がない。
 こうした一方で寺社が仕掛けて作り出されたものも存在する。江戸時代には、幕府によって寺院と家とを結びつけて民衆の戸籍と宗教を管理・統制する「寺請制度」がとられていたので、大寺院は一大勢力を持つようになっていた。その一方で、新興の寺院や中小の寺院は自らの経済基盤を確立し、寺院経営を行うことを迫られていた。この一手段として、持仏に特別な現世利益があると喧伝したり、境内に神仏を設置して新たな霊験を加え、多くの参拝人を獲得するようにしたのである。このため江戸後期から幕末にかけて多くのハヤリ神が流行するようになった。
 ハヤリ神は社会の混乱期・変革期に出現する事が多い。「常世神」、「設楽神」、「鍬神」などが有名である。社会不安が民衆の心理に影響を与え、新たな信仰を求める事からハヤリ神が生まれるのだろう。

 「流行」を送り仮名をつけて「はやる」と読むのもこのことからだという。

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